アヌ・トゥオミネン「森の住人」

 アヌ・トゥオミネンは、台所用品や文具といった身近な道具や素材を取り上げ、これらに編む、切る、並べるといった最も一般的な手法で加工を施すことにより作品作りを行なっています。ビーズのように短く削った鉛筆を連ねてネックレスとしたり、使い古された手袋を互いに縫い合わせて器や小動物に変身させたりと、手芸的な要素を多分に含む彼女の作品には、コンセプチュアルな発想を起点としながらも、どこか温もりが感じられ、しばしば思わず吹き出さずにはいられないようなユーモアが隠されています。物それぞれがもつ形態や機能、素材の性質や色合いなどを仔細に観察分析し、新たな解釈を与えて、元のままでありながら「別のもの」として再生するトゥオミネンの作品は、まるで連想ゲームのように見る者にも限りないイマジネーションの連鎖を呼び起こすのです。

 

 「キッチン」をテーマとした前回の展覧会に続き開催する今回の展覧会では、一転戸外の自然へと目を移し、「森」にまつわる素材や題材を扱った作品を集めて展示を行ないます。トゥオミネンの母国フィンランドでは国土の70パーセントを森林地帯が占めており、都市部に移り住む人が増えた現在もなお、「森」は多くのフィンランド人にとって心の拠り所であり続けています。幼年時代を森に囲まれた片田舎で過ごしたトゥオミネン自身も、無数の小さな発見と安らぎ、それに少しばかりの畏敬の念を授けてくれる森の恵みに触れながら成長しました。ただし、トゥオミネンにとって「森」あるいは「自然」は、そこから創作のインスピレーションを得るといった次元を超えた完璧な存在であり、今回展示される作品は、無言の内に我々に様々な啓示を与えてくれる森に対する彼女なりの捧げものという風に取ることができるかもしれません。

 

 また、今回の展覧会に併せ、アヌ・トゥオミネンの新しい作品集 'Thinkables'(英語版)の発売も行ないます。この本には、「色彩」、「編み物」、「靴」、「方眼紙」といった61 の項目が辞書風にアルファベット順で並んでおり、それぞれの主題について、考え得る創作アイデアを覚え書き風に綴ったトゥオミネンのテキストと、これらのアイデアに基づき実際に制作された作品の図版が収録された大変見応えのある内容となっています。皆さまの是非のご高覧をお待ちしています。

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会 期: 2008年4月12日 [土] 〜 27日 [日] 

火 - 土 12:00-19:00 日 12:00-17:00 / 月・祝休

■ オープニングレセプション:4月11日 [金] 18:00-20:00

後 援:フィンランドセンター

 

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ANU TUOMINEN

アヌ・トゥオミネン

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