ワー・ヌ「日の出」

 ワー・ヌはこれまで、「雲」や「葉」などを題材とし、ポップなスタイルの中に私的な叙情性を込めたペインティングを制作してきました。2005 年の「Self-Identity」以来Art-U room での2度目の個展となる今回の個展では、「日の出」をシンボリックに表した構図を配色を変えて展開したシリーズを発表します。この作品は、かつて彼女が旅の途中で列車から見た田園地帯の夜明けの思い出が出発点となっており、その時目にした光景の美しさはその後も彼女の記憶から消え去る事なく、日々の暮しの中で彼女が困難や不幸に直面した際に、そうした暗い夜の時期を乗り越えて、再び希望を見いだす勇気を与えてくれるイメージとして彼女を支え続けているのです。

 

 ワー・ヌはペインティングと平行して、前回の福岡アジアトリエンナーレにて上映された「春のティータイム」の様に、白昼夢を思わせる独特の浮遊感を持つ映像作品も手掛けており、最近では絵画と映像を組み合わせた複合的な展示方法にも意欲を見せています。今回の展覧会「日の出」でも、ペインティングのシリーズと共に、同じ図案を用いたアニメーションを併せて展示し、更に奥行きのある空間構成となる予定です。ぜひご高覧ください。

 

■ ワー・ヌ (Wah Nu)

1977 年ヤンゴン(ラングーン)生まれ。ヤンゴン文化大学にて音楽を学んだ後アーティストとしての活動を始め、現在はペインティングと映像を中心とする制作活動を行なう。2004 年ヤンゴンにて初個展および第11 回バングラデッシュビエンナーレ出展。2005 年第3 回福岡アジア美術トリエンナーレ出展およびArt-U room にて個展。2006 年並びに2007 年ヤンゴンにてグループ展。パフォーミングアート等を行なう夫のトゥン・ウィン・アウンと共に、ミャンマーにおける現代アート界の将来を担うアーティストとして期待されている。

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会 期: 2008年10月18日 [土] 〜 11月9日 [日]

火 - 土 12:00-19:00 日 12:00-17:00 / 月・祝休

■ オープニングレセプション:10月18日 [土] 17:00-20:00 

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 Works

WAH NU & TUN WIN AUNG

ワー・ヌ&トゥン・ウィン・アウン

Tet Nay(日の出)は、再生、前進と反抗、みずみずしい若さ、温かみと安全性、そして生の力を象徴する。

 

列車で旅したときのこと、片田舎の夜明けを見たことがある。野原から静かに昇る太陽の美しさは忘れがたい。それ以来、心を強さと希望で満たしておきたいと思っている。それは未来に向き合うための強さと希望。人生で困難や難問を抱えたとき、あの夜明けを思い出して。

 

実際には日の出を象徴するものは古来から「幸先の良いもの」を意味していた。私には生きる「理由」のように思われる。

 

新たな1日の静かな始まり。暗い夜の後の夜明けからは多くのことを学ぶ。私の人生でさまざまな難問や不本意な状況は深く暗い夜のようなもの。その厳しい夜を乗り越えるためには強さと、信念、希望と決断力が必要なのだ。さもなければ道に迷ってしまう。でも悪状況を克服すれば、やさしく美しい夜明けが待っている。

 

昨夜、道を見失ってしまったのは誰? 夜明けを見られるのは誰?

 

絵画と、子守唄をBGMにしたアニメーションから成るシリーズ、「日の出」。子どもたちに平穏な未来がありますように。そして私にも。

 

ワー・ヌ(日本語訳:松浦直美)

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