稲垣 智子「Ghost」

 この度Art-U roomでは、稲垣智子の当ギャラリーでの3回目となる個展「Ghost」を開催致します。映像インスタレーションを主なメディアとして扱う稲垣智子は、現代社会に生きる一人の女性の視点から、私たちが日常盲目的に従っている制度や慣習に潜む様々な矛盾や不条理性を浮き彫りとするような作品を制作してきました。代表作となる「Mirror」のシリーズでは、マジックミラーが生み出すトリッキーな視覚効果を応用して、一見無限の広がりを持つ空間の様に見えながら、実は鏡張りの窮屈な温室内に閉じ込められた女性の閉塞感を表した「Forcing House」(2013年)、また、一つのストーリーの中に時間と空間の両軸においてシンメトリーな構図を持ち込み、話が進むにつれて「虚」と「実」の境界が次第にあいまいとなっていく映像作品「間-あいだ」(2011年)他をこれまでに発表しています。

 

 本展で展示するビデオインスタレーション「Ghost」は、屏風の様に配置された鏡の上に、4つの映像が同時に投映されます。各映像に登場する女性は、顔の見えないパートナーと共に、それぞれ「喜」「怒」「哀」「楽」を表す身振りを行いますが、この無言劇が進行していくにつれ、見る者は次第にある疑念を抱いていくこととなります。そしてここでも、稲垣の作品を特徴付ける仕掛けにより、私たちが知らず知らずのうちに条件づけられている判断や反応の正当性に対して疑問を投げかけるのです。

 

 昨年稲垣は、イギリスのシェフィールドにて開催されたパフォーマンスフェスティバルにて、長年遠ざかっていたパフォーマンスに再度取り組み、また他の作家達と共にオムニバス形式で映像作品を紹介する上映会をキュレーションするなどその活動の幅を広げています。本展と同時期に開催される恵比寿映像祭では、関連イベントとして、イギリス、ドイツ、大阪を巡回した上映会「Melting Point 2」を、恵比寿のMEMにて行う予定です。どうぞ本展と併せてご高覧下さい。

 

 

■ 稲垣 智子 (Tomoko INAGAKI)

大阪府生まれ。2001年英国国立ミドルセックス大学美術学部卒業。ロンドン留学時よりパフォーマンス、インスタレーション作品をイギリスやヨーロッパ各地にて発表。帰国後2002年CAS(大阪)にて初個展「Dream Island」。その後の主な展覧会は「こもれび」(2003年、水戸芸術館)、「大阪・アート・カレイドスコープ - 春・花・生」(2004年、CASO)、「夏の蜃気楼」(2005年、群馬県立館林美術館)、「間 - あいだ」(2010年、同志社女子大学 mscギャラリー)、「Project “Mirrors”」(2013年、京都芸術センター)他。海外のアーティスト・イン・レジデンス参加歴も多数。現在大阪府岸和田市在住。

 

作家ウェブサイト:

http://tomokoinagaki.com

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会 期:2017年2月11日 [土・祝] 〜 3月5日 [日] 

火 - 土 12:00-19:00 日 12:00-17:00 / 月休

■ 2月11日 14:00〜 アーティスト・トーク、ゲスト:中島智(芸術人類学者)/ 16:00〜19:00 オープニングレセプション

協力:ARTISTS' GUILD

 

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TOMOKO INAGAKI

稲垣 智子

Installation view

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